好きとか、嫌いとか、そんなの全部分からなくなっちゃった。
今までこういう事は本当に好きな人としか出来ないものだと思ってたけど、意外とそうでもなかったんだ。
もしかして、男になっちゃったから。
だから、頭まで欲求に従うのみの、馬鹿になっちゃったのかも。
だって、こんなにもまだ身体は反応してる。
新しい快感を求めてる。
そう、たとえばさ。
この卑しくて淫らな娼婦と、浅ましくも私を追い立てる男のように。
THE CARD GAME
010/DUUBLE-DECKER
飛鳥は、吐精したばかりの肉棒を、相変わらず腰を揺らしている女の内部から引き抜こうとした。
中では、女の多量の汁と飛鳥自身の精が、どろどろと纏綿して絡み合っている。
混じり合いきれずに分離してしまった白は、こぽりと音を立て、溢れては垂れた。
しかし、飛鳥の乖離を、濫りがわしい男も、女も、許さなかった。
腰を引こうとすれば、女の肉壁はきつく締まり、男も後ろから尻押ししてきた。
その上、後口を解して拡げようとしている男の舌は、まだだと執拗に飛鳥を攻めあげている。
だからこそ、欲を吐き出しても、不快感があっても。
過度な刺激に、飛鳥自身が萎える事はなかった。
だが、其処には先程のような快感がある訳ではなく、ただ男の性か、適度な摩擦に肉芯の角度が一定を保っているだけの事だった。
それが、女の身体を串刺しにしているのだ。
時間と共に、脳天まで突き抜けるようだった恍惚は、果てのない苦痛へと変わっていく。
浅い呼吸では脳に十分な酸素を送る事が出来ず、酷くくらくらした。
数刻前から立て続けに行なわれた行為に、吐精後の気怠さも加算される。
もう、止めたい。
故に、飛鳥にそのような言葉しか思い浮かばなくなった、その時。
それを図っていたかの如く、男は舌を飛鳥の腰下から離し、代わりに指を中に差し込んできた。
その新しい刺激に、飛鳥は思わず身体をびくりと仰け反らせた。
普段、排泄時の一方通行にしか異物が通らないその場所は、男の指を拒んで、なかなか奥へと進ませない。
それでもお構いなしに、ぐいぐいとその指は先へと潜り込んでいく。
あらぬ箇所の内部を掻き回され、肉壁がにちにちと奇怪な音をたてた。
それなのに、男は突っ込んだ指の本数を更に増やそうとする。
飛鳥は、その押し遣るような圧迫のせいで、額に脂汗をびっしりと浮かばせた。
「relaxして、アスカ。
じゃないと中に入れないデショ」
緊張して身体が強張っている飛鳥に、男が囁く。
飛鳥は、「中に入るだなんて、そんなふざけた事を」と、言葉を抱懐させようとした。
だが、その前に、男の指が飛鳥の体内のしこりを突いたので、うまくままならなかった。
壁裏から前立線を直に刺激する其処は、飛鳥の芯の硬度を一層増させ、強制的に肉棒の角度を吊り上げた。
「ああっ、ジョーカー。
固くなったぁ」
飛鳥の色好い態を知らせる女の言葉に、銀髪の男ジョーカーは、いいところを見付けたとばかりにほくそ笑んだ。
そして、いつの間にやら三本も入れていた指をずるずると引き抜いて、その指を舐めた。
その異物を引き抜かれる感覚にすら、飛鳥はびくりと反応してしまった。
まるで、埋まった蚯蚓が中から引き抜かれるような具合だった。
「OK, アスカ。
ゆっくり息吐いて。
じゃないと多分痛いヨ」
やっと己を攻め立てるものがなくなったと安堵した瞬間、後口にがちがちと堅く、熱いものが押し当てられた。
飛鳥は、慌てて後ろを振り返ったが、視界を奪うように男に口付けられ、抵抗の言葉も吐けなかった。
男は、拒否を許さないつもりらしい。
「ネ、俺を入れて。
俺を、アンタの中に」
くちゅくちゅと舌を絡ませる濃厚な口付けの後、男は耳元で囁いて、飛鳥の身体の中に強く腰を沈めてきた。
ぎちぎちと内部が裂けるような音が下肢から聞こえ、飛鳥の眉には濃い皺が刻まれた。
それでも、その後口は飛鳥の心境とは別に、何かの催眠にかかったかのように、男を受け入れようと蠢きだす。
≪挿絵≫
「ふっ、う」
飛鳥が浅く呼吸を繰り返せば、そのリズムに合わせるように、男も奥へと腰を進める。
ぴりぴりと痛む皮膚は、男自身の大きさを顕著に伝えるが、男が押し留まる気配は無い。
「アスカ、動くヨ」
許しを請うイントネーション。
その直後、飛鳥の体内は、腰ごと激しく揺さ振られた。
その動きは、飛鳥の感じるポイントを的確に捉え、しつこい程に攻めあげてきた。
男は、飛鳥が串刺しにしている女も、より一層激しく腰を振ろうとする。
飛鳥の快感の汁も、また後から後から沸いて出た。
「ううっ」
にちゃにちゃという粘り気のある音と、ぱんぱんという肉を打つ音。
それだけが部屋に響くのを感じながら、飛鳥は二人に挟まれ、何度も何度も吐精した。
目の前がぱちぱちと光を弾き出す。
仕舞いには、頭蓋の中が真っ白に染め上げられていった。
TO BE
CONTINUED.
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